齋藤飛鳥ちゃんが人生に影響を受けた一冊の本

人生に影響を受けた一冊、もしくは大好きな一冊をおこたえください。
『大江健三郎全小説3』(大江 健三郎)

『大江健三郎全小説3』

その本を読んだきっかけを教えてください。

本好きのスタッフの方に薦めていただき大江健三郎さんの本をいくつか読んだところ、肌に合っている気がしたので、どっぷり浸ってみようと思い、読み始めました。

その本を大切な誰かに薦めたことはありますか?

自分の読んでいる本を誰かに薦めることは、普段致しません。

その本がご自身に与えた一番の影響は何でしょうか?

他人との接し方。
成長とは、それに伴いいくつかのものを喪失するという事。これらを知りました。

読了後の感想や印象をお聞かせください。
その本を読む前と読んだ後で内面に変化などありましたか?

それぞれの物語からそれぞれに影響を受けましたが、大きかったのは、自分の考え方はネガティブなわけではないのだと腑に落ちた事です。
10代の特に多感な頃に読んだので、この本は人格形成にも少し影響を及ぼしているのではと思います。

その本の中で一番好きな登場人物は誰ですか?
もしくは最も印象に残ったページを教えてください。

「飼育」が一番好みです。
「かれはアシュレイのいまは柔順になった肩をかかえて自動車にのせた。乗りこむときアシュレイは意識して平静な呼吸にかえる努力をしている様子だった。それがかれに友情に似た柔らかい感情をおこさせた。」
この表現を読んで、友情というものはわかりやすくもなく、しかし、このようなさりげない事でも相手によっては伝わるものなのだと知りました。

絓秀実さんが「群像」でお話ししていたこの本の評価も、とてもしっくりきました。
子どもが社会性を身につける過程や、「飼育」はするものでもされるものでもなく、同時に進行しているものなのだと学ぶ事もできました。

その本の著者に何か伝えられるとしたら、どんな言葉を伝えたいですか?

「大江健三郎さんの本が肌に合う」と言ったことをあやまります。

ご自身にとって「本」はどんな存在ですか?
私が特に色々な本を読み漁っていたのは10代の頃です。学校の先生やクラスメイトと一緒に得るものを、どうにか読書を通じて吸い取れないかと必死になっていた記憶があるので、その時間がなかったらもっともっと人として欠けていたのだろうと思います。

読書を漢字2文字で表すとしたらどんな文字が浮かびますか?

教材

お好きな本のジャンルはありますか?

昔は暗いトーンのものに拘っていましたが、今はどのジャンルも読みます。

幼少期の本との思い出を教えてください。

兄と同じように男の子みたいに育ち、少年漫画と動物図鑑が愛読書でした。

どこで読書をするのが一番落ち着きますか?

どこでも。

これからの子どもたちにメッセージをお願いします。

文章を読む事も書く事もたまたま好きだっただけで、人間関係を築く難しさにつまずいた時に救いを求めたのがたまたま本だっただけの私ですが、読書家と呼んでくれる人もいます。
そう言われるともうちょっと頑張って読まなきゃいけないかな、とか思って寝る時間を惜しんでまで本を読んでいた時期がありました。皆さんはそんなふうに構えず、読みたい時に読みたい本を読んでくださいね。

もし小説家や漫画家になれたとしたらどのような作品を描きたいですか?

私には到底、できる気がしないです。

子どもの頃の自分に読んでほしいなと思う本はありますか?

『もったいないばあさん』(真珠 まりこ)

『もったいないばあさん』

無限に本が買えるとしたら何を買いますか?

一度に沢山手に入れるとただ山積みにしてしまうので、できれば一冊一冊買いたいです。

国民全員に本を一冊配れるとしたらどの本を配りますか?

「群像」をひと月に一冊。